派遣社員キャリアアップの 具体的な措置を徹底検証!
派遣先がなすべきこととは?
派遣社員のキャリア形成 平成27年に改正された労働者派遣法。その中のひとつに『均衡待遇の推進』があります。
これは「派遣労働者」と「派遣先で同種の業務に従事する労働者」の待遇の均衡を図るため、派遣元事業主と派遣先にそれぞれ『新たな責務』が課されたというものです。
改正から1年経った今、改めてその責務について、人材プロオフィスキャラクターの「プロ子女史」を先生として、枚方つーしんキャラクター「ぼしひこくん」が質問をしていく会話形式で見ていくことにしましょう。
■派遣キャリア形成
ぼしひこ(以下:ぼ)「来年春までにCD出すやろ?そのあとは深夜のテレビにまず出演して…」
プロ子(以下:プ)「何やってるの?」
ぼ「今後の俺のスター街道を設計してるねん。そろそろ芸能人としてのキャリアを考えていかんと…」
プ「芸能人ね…(苦笑) それはそうと、派遣労働者のキャリア形成に関して去年改正された労働者派遣法で定められたのは知ってる?」
ぼ「知らんけど『キャリア形成』って自分でやっていかなアカンのちゃうん?」
プ「もちろん派遣社員さん自身が考えていく必要はあるわ。でも、派遣元会社も派遣先会社も『派遣社員さんのキャリアアップ』について手伝う義務があるのよ?」
ぼ「義務って?」
■ 教育訓練の実施
プ「派遣労働者の基本的な教育は派遣元が行うんだけれど、派遣先で業務と密接に関連した教育訓練を実施する場合があるの」
ぼ「派遣先『ならではのお仕事』を教えるってことね」
プ「その場合は派遣労働者に対して派遣先も教育訓練を実施する配慮義務があるというわけ」
ぼ「義務っていうと堅苦しいけど、業務をやってもらうために学んでもらわなアカンことを教えるってことやんな?」
プ「その通りよ。ただ、派遣先の労働者と必ず同様の教育訓練をしなければいけない訳ではないわ」
ぼ「…というと?」
プ「たとえば、派遣労働者に対して集団研修は行えないけれど、同内容の映像を視聴してもらうとか、可能な限りで訓練をしてもらえればいいわ」
ぼ「なるほど。派遣先でしか教育できない部分に関しては、できる範囲で派遣先も協力してね!ってことやね」
■ 派遣先管理台帳
プ「さらに派遣先には『派遣先管理台帳』に派遣労働者の労働内容などを記載する義務もあるの」
ぼ「なんか面倒くさそうやな…」
プ「会社によっては日報などをつけているところもあると思うけれど、それと同じようなものと考えればいいわ。重要なのは… ・ 就業状況 ・ 苦情処理状況 ・ 教育訓練内容 などをしっかりと記載し、派遣元会社と情報を共有することよ」
ぼ「情報共有?」
プ「そう。派遣労働者のキャリアアップは派遣元会社だけでも不可能だし、派遣先会社だけでも不可能なことで、双方が協力して情報を共有することで成り立つことなの」
ぼ「派遣先会社も協力か…」
プ「派遣先会社も、派遣労働者の就業状況や教育訓練などを通して『業務の効率化・システム化』を考えるキッカケにもなるわ」
ぼ「見直すキッカケか。確かにそれは言えてるかも」
プ「さらに『派遣労働者からの苦情』というのは、社内の常識になってしまっている部分にメスを入れ、改善をするチャンスをもらえるとも言えるわね」
ぼ「確かにポジティブにとらえれば、教育訓練も苦情処理も会社を良くするためのチャンスが、派遣労働者が入ることで得られるってことやん!」
プ「その通り!」
■ 会社もキャリアアップ
プ「今回は派遣社員さんのキャリアアップについて見てきたけど、どうだった?」
ぼ「キャリアアップって個人的なことやと思ってたけど、『派遣先会社にとってのキャリアアップ』の機会にもなるんやな〜と思ったわ」
プ「…完璧な解答すぎて、逆に気持ち悪いわね」
ぼ「…てことは、今の俺の歌唱力がダメダメでも、レコード会社が俺を育てることでレコード会社にとってのキャリアアップにもつながるってことやんな?じゃあ、今すぐどこでもスカウトしてくれていいんちゃうん?」
プ「どんな話でも自分のことにつなげられる才能は、きっとどの会社に行っても通用するわね…(苦笑)」
(おわり)