【前回のあらずじ】
就職活動中のフロ子は人財プロオフィサーの大林との出会いをキッカケに積極的になったが、他社の会社説明会で迷いを感じる。気が付くとフロ子は大林に電話をかけていた…
「もしもし人財プロオフィサーです」
「私…就職活動中の大学生で…御社の説明会で…大林さんの説明を受けた…就活中の…」
「フロ子さんですよね? 大林です、ごぶさてたしております」
「大林さん?」
フロ子は他社の就職説明会に参加したこと。そこの担当者に質問に答えてもらえなかったことなどを説明した。大林はフロ子のたどたどしい説明を優しいあいづちを挟みながら、忍耐強く聞いた。
「私、急に大林さんとお話したくなって…。スミマセン長々とこんなつまらない話を…」
「いえいえ、ちょうど珈琲でも飲みたいと思っていたところだったんです。今どこですか?」
大林とは人財プロオフィサーの最寄り駅改札前で待ち合わせた。小柄な大林は人混みの中では見つけにくいはずなのに、フロ子はなぜかすぐに大林を見つけることができた。
大林のいきつけの若い店主がきりもりする珈琲屋はレトロなのにどこか今風だった。
「私はコーヒーとドーナツを。…フロ子さんは?」
「私はアイスコーヒーで」
「すみません。甘いものには目がなくて…」
そう言って大林ははにかんだ。
(つづく)