【前回のあらすじ】
人財プロオフィサーの面接を機に積極的になった女子大生フロ子は就職説明会で担当者から大人のあしらいを受け…
就職説明会の帰り道、フロ子は河川敷によった。
何かあると必ず立ち寄っていたここからの景色は、何も変わらない。毎回変わっているのは自分の心だけだ。
(私は何か変な質問をしたんだろうか…?)
(仕事に対しての充実感・やり甲斐は聞いてはいけないことなんだろうか…?)
考えれば考えるほど腑に落ちなかった。
この河川敷は私がどこかの会社に就職して、働いて、退職して、老後を迎えた時でも、きっと今日とほとんど同じ顔をしているんだと思う。でも、私はその年月を過ごした後に「やり甲斐のある仕事ができた」と充実感あふれる顔でいたい。
こんなことを考えるなんて、まだまだ子どもなんだろうか?
でも、こんなことを考えられなくなることが大人になることだとしたら…私は子どものままでいたい。
もやもやした気持ちを抱えながら空を見ていると、ふと人財プロオフィサーの大林さんの笑顔を思い出した。あの人なら私の質問に正面から答えてくれるかもしれない…と思うより先にフロ子は携帯電話を取り出していた。
(つづく)