【前回のあらすじ】 人財プロオフィサーの会社説明会で何かが弾けた女子大生フロ子は説明会を終えて…
帰り道も大林さんの言葉がフロ子の頭にこだましていた。
「人生の長い時間を費やす仕事…」
「働くとは何か…」
簡単に答えられる問いではないとわかっていても、考えずにはいられなかった。
私は仕事を通じてどうなりたいんだろう?
働くとは私にとってどういう意味を持つんだろう?
それは初めてフロ子が積極的に就職について考えはじめた瞬間だった。
その夜は新しいお気に入りの遊びを覚えた子どものように、脳ミソが考えることをやめなかった。
翌朝、フロ子はほとんど寝ていないにも関わらず、新しいシャツに袖を通し大学の就職支援センターへ向かった。
そこでいくつかの説明会に申し込み、さらにその足でこれから行われる説明会に参加することにした。
空はよく晴れていた。
そのことにハッキリ気がつくほどに、フロ子は上を向いて歩いていた。いつも折りたたみ傘を鞄に忍ばせているフロ子にとって、晴れようが雨が降ろうがどっちでもよかったのに。
背を競うように長く伸びる高層ビルの合間を塗ってフロ子は歩いた。一歩足を前に出すたびに、未来へ近づいている予感がした。
「私はこれから新しいステージに行くんだ」