【前回のあらすじ】 『人と企業をつなぐ』人財プロオフィサーの会社説明会で咄嗟に自分であだ名をつけた女子大生フロ子の行方は…
人材プロオフィサーの大林さんは一瞬きょとんとした顔をしてから、にっこりとフロ子に微笑みかけた。「フロ子さん…いいあだ名ですね。じゃあ続いてアナタ…」 咄嗟に思いついたあだ名を答えた自分の思い切りの良さに、フロ子の心臓ははちきれんばかりに高鳴っていた。自分の中で何かが弾けた実感が確かにあった。私はこの会社で変われるかもしれない…その想いがフロ子の中で確かに芽吹いていた。
「…フロ子さん? 聞こえていますか? フロ子さん?」
「え? …フロ子? フロ子です! はい! 私がフロ子です」
「えぇ、先ほどお伺いしましたよ。それにしても元気な声でよろしいですね」
大林さんの突然(に聞こえた)呼びかけに、フロ子は自分でも出したことのないような大きな声で答えていた。他の説明会参加者はポカンとしていたけれど、大林さんはそんなフロ子にまたにっこりと微笑んでくれた。
会社説明会は時おり大林さんの小話を挟みながら小気味良く進んでいった。人と人を結びつける仕事。人はそれぞれ、答えも色々。あなたはこの会社を通してどうなりたい? どうしたい? 大林さんの話は会社の説明の枠を越えて、人生を考える問答のようにもフロ子には聞こえた。
「これから皆さんの人生の長い時間を仕事に費やします。ですから、この就職活動という機会に『働くとは何か』をしっかり考えてもらえればと思います」